親の介護や見送りを経験した50代が口をそろえて言うのが、「いざという時、自分は家族に迷惑をかけたくない」という思いです。
とはいえ、50代はまだ体も元気で、子育てや仕事も続いている時期。「終活」という言葉に違和感を持つ人も少なくありません。
だからこそ、今できるのは「暮らしの延長」にある“ゆるい終活”。
お金のこと、家族への思い、これからの人生をどう使いたいか――。
大切なのは、完璧を目指さず、“今の自分”にできることを少しずつ整えていくことです。
「終活」と構えなくていい。50代の今が始めどき
50代は、定年退職前の“心と体がいちばん動く”時期。
子育てや親の世話が落ち着きはじめ、時間と意識に少しずつ余白が生まれてきます。
そんな今こそ、老後やその先に向けて、“自分のための準備”を少しずつ始めるのにちょうどいいタイミングです。
特に、親の介護や相続を経験した方なら、「家族が困ったこと」「もっと早く知っておけば良かったこと」があるはず。
その経験を、自分の備えに生かすことで、家族への負担を大きく減らすことができます。
まだ選べる、まだ動ける ――それが50代
20年後、30年後の自分を想像してみましょう。
老後の住まいは?介護が必要になったら?お金は足りる?――そうした問いに、今こそ向き合うタイミングです。
自宅で最期を迎えるとは限らず、介護施設や病院など、希望する終の棲家には相応の費用がかかります。お墓や葬儀の形も含め、自分はどうしたいのか、考えをまとめておくことは家族の負担軽減にもつながります。
また、健康維持は最大の備え。健診や運動習慣、生活習慣の見直しも「自分のこれから」をつくる一歩です。
50代は、まだ選べる、まだ動ける年代。今だからこそ、自分らしい未来に向けて準備を始めましょう。
終活は“ひとり”でしない。家族を巻き込んで話し合う
終活というと「ひとりで静かに進めるもの」と思いがちですが、家族と一緒に考えることで初めて意味を持つ場面も多くあります。
突然の病気や事故が現実になる年代だからこそ、まずは感謝の気持ちを日々伝えることが何よりの備えです。
そして、年金や資産状況、いつまで働くのかといった老後のプラン、自分や配偶者に万が一があったときの対応についても、包み隠さず共有を。
お墓や葬儀、延命治療についても、現実味が薄い今だからこそ、冷静に“本音”で話し合えます。
終活は、自分のためだけでなく、家族を守るための準備でもあります。50代の今こそ、家族の未来を一緒に考える時間を持ってみてください。