まずは「見られたくないもの」から処分――50代から始めるモノの終活5つのポイント

自分の終活とお金

50代は親の介護や葬儀を経験する世代。そしてこの経験を通して「自分もそろそろ備えないと」と感じ始めるころでもあります。
今回は、50代から始める生前整理のうち特に「モノの整理」を始めるにあたってのポイントを、リアルな視点からご紹介します。

ポイント①最優先は、自分の「黒歴史」の処分

まず最初に手をつけて欲しいのが、あなたの黒歴史(笑)
段ボールに詰めたまま、押し入れや物置に眠っている古い日記、子供には見せられない学生時代の成績表、熱い理想を語り合った友人との手紙、元恋人との写真、誰にも言えずに集めていた趣味のグッズやコレクション…。
若いころの想いや過去の記憶が詰まった「思い出の品」は、自分にとってはほろ苦くても大切な思い出の品。でも、家族にとっては突然の“発見”になりかねません。

「見られたくない」と思っていたのに、年を重ねる中でその存在すら忘れてしまい、いざという時に家族が整理することに。
結果的に、自分の知られたくなかった一面や過去が、思いがけず暴かれてしまう――そんなケースは意外と多くあります。

自分の人生をどう締めくくるか。
今なら、残すもの・手放すものを自分の意思で決められます。ぜひ“捨てる勇気”を持ちましょう。

ポイント②遺された家族の負担を考える

自分では大事にしていたモノでも、他人にとっては“ゴミ”のように見えることも。大量の持ち物があると、遺された家族は時間も労力も精神力もすり減らしてしまいます。
“ありがとう”の気持ちと一緒に、“身軽さ”も残してあげるのが本当の優しさです。

中でも、大量の写真は特に扱いが難しいもの。家族にとっては処分しにくく、かといってそのままでは意外と場所も取ります。思い出として老後に楽しむこともできるため、今すぐすべてを捨てる必要はありませんが、少しずつ電子化するなど、写真の整理にも手をつけておくと安心です

ポイント③本当に残したいものを“選ぶ”

年齢を重ねるごとにモノは自然と増えていきますが、「本当に残したいもの」は、意識して選ばなければ埋もれてしまいます。写真や思い出の品、手紙など、大切な記憶を残すためにも、自分の意思で選びとる作業が必要です。
一方で、「もう使わないもの」を手放すことも大切です。たとえば、もう行かなくなったゴルフ道具や若い頃にやっていたテニスラケット一式、サイズの合わない服など、「いつか使うかも」としまい込んだままのものは、意外とスペースを奪っています。
処分すれば空間も気持ちもすっきりします。大量の服が詰め込まれていたクローゼットは、今の自分に合った“気持ちよく着られる服”だけが残ります。残すものと手放すものを自分で選ぶ。これこそが、モノの終活の本質です。

ポイント④生前整理を通じて「今を生きる」楽しさを再確認する

不要なものを手放すことで、空間も気持ちもスッキリ。自分にとって本当に大切なものが見え、これからの人生の優先順位が自然と浮かび上がります。
50代に入ると、人生の終盤が現実味を帯びてきます。「残りの人生」と言葉では分かっていても、健康に旅行やスポーツを楽しめる時間、夫婦ふたりで笑い合える時間は、実はもうカウントダウンが始まっているかもしれません。
だからこそ、「いつか」ではなく「今」を楽しむ意識が大切。生前整理を通して、過去の整理だけでなく、“今をどう生きるか”を考えるきっかけにしてください。

ポイント⑤家族と対話するきっかけにする

モノの終活は、単なる片づけではなく「家族との対話」を生む大切なきっかけになります。
写真や思い出の品を整理する中で、人生の歩みや価値観を共有できたり、将来の住まい、介護、延命治療、葬儀の希望など、普段は話しにくい話題にも自然と向き合えるタイミングが訪れます。
50代はまだ気力も体力もある一方で、親の介護や死を経験し、「自分もいずれ」と意識が芽生える世代。本音で語り合える良いチャンスです。
モノの終活は、家族に“片づけの負担”を残さないだけでなく、自分の想いを伝える「心の整理」にもつながるのです。

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