親の葬儀や相続を経験すると、「自分の老後はどうしよう?」「老後資金は足りるのかな?」と考える人も多いと思います。政府もNISA制度を導入し、「老後資金は自分で備えてください」という時代になりました。
私は投資の専門家ではなく、ごく普通の50代主婦ですが、20年以上前から少しずつ株や投資信託に取り組んできました。利益も失敗もあり、最初は「株ってどこで買うの?」という疑問からのスタートでした。
この記事は、そんな私の経験をふまえて「投資は初めて」という人向けにまとめています。「投資って怖いだけじゃない」と感じてもらえるきっかけになれば嬉しいです。
※投資は資産が目減りする可能性がありますので、あくまでも自己責任でお願いします
50代から考える投資と老後資金
50代になると、定年や年金生活がだんだん現実的に見えてきます。数年前には「老後2000万円問題」が話題になり、私も不安になりました。
インフレや生活費の増加を考えると「貯金だけでは心もとないかも…」と思うのも自然なことです。
ただし、私たち素人がやるべき投資は「一攫千金」ではありません。短期的な儲けを狙うのではなく、10年・20年と長い時間をかけて資産を育てるのが基本です。そう考えると、50代は老後資金づくりのために動き出す“最後のチャンス世代”ともいえます。
貯蓄と投資の違い
まずは基本の整理から。
「貯蓄」と「投資」は似ているようで全く違います。
- 貯蓄:銀行の普通預金や定期預金など、元本(預けたお金)が保証される方法。利息はほんの少しですが確実に増えます。
例:100万円を定期預金(金利0.4%)に5年間預けると、5年後には約102万円になります。元本が減ることはありません。 - 投資:株式や投資信託など、元本保証はありません。
例:100万円を株式に投資すると、5年後に120万円以上になることもあれば、80万円、50万円に減ってしまうこともあります。極端な場合はゼロになるリスクもあります。
つまり、貯蓄は「安心重視」、投資は「増やす可能性と減るリスクがある」という違いがあるのです。
投資における「リスク」とは?
それではリスクとは具体的にどういうことでしょうか?
リスク=危険という意味だけではありません。投資の世界でいうリスクとは「価格が変動する可能性」のことです。
- 株価が上がることもあれば、下がることもある
- 為替(円やドルの価値)が変動する
- 金利や景気、世界情勢によって大きく動く
つまり「予想どおりにいかないかもしれない」という幅のことをリスクと呼びます。
大切なのは、このリスクをできるだけコントロールすること。たとえば…
- 1つの銘柄に集中投資せず、いろいろな商品に分散する
- 長期で持つことで、一時的な値下がりをカバーする
- 生活資金まで投資に回さず「余裕資金」で取り組む
こうした工夫をすれば、投資は「怖いもの」ではなく「資産を増やすための手段」になっていきます。
投資にはいろいろな種類がある
投資といえば「株や投資信託」が代表的ですが、実は他にもたくさんの種類があります。
- 株式投資:企業の株を買って配当金や株価の値上がりを狙う
- 投資信託:プロが運用する投資商品。株や債券などに分散投資できる
- 債券投資:国や企業にお金を貸し、その利子を受け取る
- 不動産投資:マンションやアパートなどを買って家賃収入や売却益を得る
- 金(ゴールド)投資:インフレに強いとされる資産
- 外国為替(FX):通貨の売買で利益を狙う
- 暗号資産(ビットコインなど):価格変動が大きく、投機的な要素が強い
この中で初心者におすすめできるのは長期運用を前提とした「株(株式)」や「投資信託」。仕組みが比較的シンプルで少額から始められるます。FXや暗号資産、先物取引はリスクや難易度が高いため、まずは避けた方が安心です。
株の投資にも色々ある
株への投資といっても方法はさまざまです。ここでは代表的な3つを取り上げてみます。50代からの投資は「老後資金をどう作るか?」が一番の目的になるので、その観点からも一緒に考えてみましょう。
① デイトレード
株価の動きを毎日チェックして、短時間で売り買いを繰り返す方法です。テレビやネットでよく見かける投資スタイルですね。利益が出れば大きいですが、プロや大企業と同じ土俵で戦うことになるため初心者にはかなりハードルが高いです。リスクも大きく、老後資金づくりには向きません。
② 株主優待を楽しむ
日本独自の魅力のひとつが株主優待。株を一定数持っていると、お礼として商品やサービスが届きます。
例をあげると…
- イオン:買い物額の一部をキャッシュバック
- 日清食品HD:自社商品の詰め合わせ
- 日本航空:株主割引券
そのほか、お米やお菓子、カタログギフトなど内容はさまざまです。家計の助けになったり、ちょっとした楽しみにもなります。金銭的リターンよりも「楽しさ」を求める人に向いていますね。
③ 配当金をもらう
企業が利益の一部を株主に分配するのが配当金です。たとえば「1株5円の配当」があれば、100株で1年あたり500円、1万株で5万円が受け取れます。NISA口座を活用すれば非課税になるので、老後の安定収入として魅力的な方法です。
ただし、配当金は必ず出るわけではありません。業績が悪ければ減額されたり、ゼロになることもあります。老後の生活費を支えるひとつの柱にはなりますが、「これだけに頼らない」姿勢が大切です。
投資信託という選択肢
株は1社ごとに値動きがありリスクが大きくなりがちですが、老後資金づくりを考えるなら「投資信託」も有力な選択肢です。
投資信託は、多くの人から集めたお金をまとめて、プロが世界中の株式や債券に分散投資してくれる仕組み。1万円からでも始められ、初心者でも気軽に「世界中に」「多業種の企業に」投資している状態をつくれます。大きく増えることもあれば減ることもありますが、長期で続ければリスクを抑えながら資産形成がしやすいのが特徴です。
50代からでもコツコツ積み立てれば、年金だけでは不安な部分を補う力になります。ただし、元本は保証されていません。手数料も取られるので商品選びを間違うと利益が出なくなる可能性もあります。
まとめ
投資は「絶対に儲かる魔法の方法」ではありません。でも、ただ貯蓄してお金を減らさないだけでは、インフレで実質的な価値が目減りしてしまいます。
50代は老後資金を意識する大切な時期。貯蓄と投資の違いをしっかり理解して、少しずつでも準備を始めていけると安心です。

