今回は、いつもの「自分の老後資金」というテーマから少し離れて、親への仕送りがテーマです。
年金だけでは生活が苦しくて、それでも「子どもには迷惑をかけたくない」と頑張る親。
そんな姿を見ると、どうしても助けてあげたくなります。
でも、一度仕送りを始めると、それは何年続くか分からない“固定費”に!
子育てと違い、親への仕送りは終わりが見えません。何年続くかわからない“減らせない固定費”は、あなたの老後資金にも影響を与えるかもしれません。
仕送りを始めようかと悩んでる人は、一度この方法を試してみてください。
「お金のこと」は、親からは言い出せない

50代主婦。私の体験談です
地方に暮らしていた私の両親。
その年は子供へのお年玉がなかったので、もしや?と思って「生活大丈夫?お金、足りてる?」と聞いてみたら、「大丈夫」「心配いらないよ」との返答。
でも、実際には家計がかなり苦しかったようで、後から知った時にはすでにカードローンを使って借金が数十万になっていました。
「え、どうして言ってくれなかったの?」と思いましたが、親世代にとって、「お金を貸して」と子どもに頼むのはハードルがかなり高いようです。
だからこそ、こちらから上手に“助け方”を作っておくことが大事だと感じるようになりました。試行錯誤をしているうちに行きついたのがこの方法。それではご紹介します。
私が実践した「銀行口座を使った援助方法」
この方法のポイントは、以下の4点です。
- 仕送りのように固定化しない援助である
- 親の経済状況をある程度把握できる
- 親側の心理的ハードルが低い
それでは実際に紹介していきますね。
自分名義の銀行口座を作る
まず、今あなたが使っている銀行とは別のところで、新しく口座を開設します。
私はセブン銀行を使いました。
楽天銀行とか、三菱UFJ銀行など、キャッシュカードを発行し、ネットでも入出金の閲覧が可能な銀行であればOKです。
ここで注意点。
親名義ではなく自分の名義で開設してください。
もし親が亡くなった時、親名義にしていると口座が凍結され、自分のお金なのに引き出せなくなります。また相続財産の対象となってしまいます。
そもそも他人名義の口座を開いてはいけませんしね!
「親」が忘れない暗証番号にする
暗証番号は親が覚えやすいものに。
親の誕生日とか、車のナンバーとか、身近な数字がいいと思います。
我が家では「初孫の誕生日」にしたんですが、見事に忘れられました(笑)。
親は「孫の誕生日を忘れた」と言い出せず、しばらくの間、お金を下ろせなかったそうです。
…そういうこともあるので、暗唱番号の設定は慎重に。
口座に入れておく金額は”お守り”程度
私の場合は試行錯誤の末、10万円で落ち着きました。
これくらいだと、親から見ても「ちょっと借りやすい」金額。
私から見ても「もし全部使われても痛くない」金額、つまり全部使われてしまっても「問題ない」「親のためだもの仕方ない」と笑顔で言い切れる金額です。
実は最初50万円入れたんですが、まぁ、減るわ、減るわ…。
やっぱり“余裕があると使ってしまう”ものなんですね💦
キャッシュカードを親に渡す
年金支給日になると銀行ATM前にズラッと高齢者が列を作るのを見てもわかる通り、親世代はキャッシュカードでお金をおろし、現金で生活する世代です。
だからキャッシュカードを渡してください。
とは言っても、「大丈夫」「お金の心配はしないで」という親にキャッシュカードを渡すのは、親のプライドを傷つける行為になりかねません。
そこでキャッシュカードを渡す時は、
「冠婚葬祭とか急に必要になった時に使ってね」
「病院代とか色々かかった時に遠慮せずに使って」
「お守り代わりに持ってて」など、優しく背中を押す言葉を添えました。
最初は「そんなの悪いよ」「無理しなくていいのに」と言ってましたが、なんだかんだと言いながらも無事受け取ってもらえました。
大事なのは「子供に頼まなくてもお金を使える安心感」を作ること。
いちいち子供に“お金を貸して””お金を送金して”と言わなくていい環境を用意してあげると、お金を使いやすくなり、カードローンなどの借金しなくてすむようになります。
引き出し状況をチェックして 親の経済状況を判断
キャッシュカードを渡した後は、月に一度くらい、ネット上から入出金をチェックします。
頻繁に引き出していれば生活が苦しいのかもしれません。
全然動きがなければ、意外とやりくりできているのかもしれません。
まあ、うちの親のように暗証番号を忘れて引きおろしできなかっただけ、というパターンもありますが…笑
使った分はすぐに補充しない
「使った分はすぐに補充しない」。これって、すごく大事です。
すぐ補充してしまうと「また入れてくれる」と思われてしまうから。
ありがたみがなくなり、自動でお金が湧き出るATMと思われてしまいます。
だから私は、残高が2万円を切った時とか、ボーナスの時だけ補充するようにしていました。
こうすることによって、親はどんどん減っていく残額を見ることになり、少しお金の使い方をセーブしてくれます。
また使うキャッシュカードは子ども名義。だからこそ、親も気を遣って使ってくれます。
その“遠慮”がちょうどいいバランスなんです。
共倒れにならない
親の経済状況が苦しいとわかれば、よりしっかりとした支援をしたくなります。でも口座に入れるお金は、「あなたができる範囲」でいいです。
親と一緒に共倒れになってはいけません。
親への支援はあくまでも「あなたの余裕の範囲で」行ってください。
あなたには家族がいます。
自分自身の老後資金も貯めなくてはなりません。
無理して親を援助してしまえば、配偶者からの不満がたまります。またあなた自身「親への援助がなければ」と、親のことを悪く思う感情が芽生えてしまいます。
どうしても自分だけの金銭的支援で難しいなら、
・兄弟姉妹に援助してくれるよう話す、
・親の生活費の見直し(スマホ料金プラン、電気代、新聞代、食費など)を手伝う、
・高額医療費制度が使えないか、公共交通の割引利用が使えないか、
など他の方法での手助けを考えましょう。
あなたも一緒に金銭的に苦しくなってはいけません。
あなたはあなた、親は親。ここはしっかり分けておきましょう。
仕送りを始める前に、少し立ち止まって
さて、こうした援助では足りない場合もあると思います。
あなたの生活に余裕があれば、「やっぱり仕送りを・・・」と思うかもしれません。
それでも、毎月決まった額を仕送りするのは慎重に。
一度始めた仕送りは、なかなか減らせません。いつ終わるか(=親の死)はわかりません。
毎月仕送りがあるとそれが「当たり前」になり、親からの感謝の気持ちも年々薄れていきます。
長く続けば、あなた自身の家計や老後資産形成にも影響しますし、配偶者の不満もたまっていきます。
お金の問題は、感情と直結しているからこそ難しい。
「親を助けたい気持ち」と「自分たちの生活を守ること」、その両方を大事にしつつも、最終的には「自分たちの生活を守ること」を優先して欲しいです。
まとめに代えて
親へのお金の援助って、正解がないですよね。
私が長年の援助で感じたのは「お互いに無理しない仕組みを作ることが大事」ということ。
心配だからと全部背負い込むよりも、少し距離を保ちながら支える方が、
長く、優しく続けられます。

