お寺で葬儀をするという選択肢 ― 厳かさと安心感

親の葬儀と準備

お寺で葬儀を行う人が増えている背景

お寺で葬儀(寺院葬)を行う人の数は、平成・令和初期に減少した時期を経て、ここ数年で少しずつ増加傾向にあるようです。
特に家族や親しい人だけで行う家族葬の広がりや、無駄な費用を抑えたいと考える人たちから注目を集めているのが原因の一つ。また、都市部や利便性の高い場所では、納骨堂や小規模な葬儀スタイルの台頭と共に、お寺での葬儀がNHKをはじめとした各メディアでも話題として取り上げられることが増えきました。
お寺葬は格式や宗教的な厳かさを重視できる一方、檀家制度やお布施など費用の見通しが立ちにくいといた課題も指摘されます。では、実際にお寺で葬儀をした人はどう感じているのでしょうか。


【体験談】お寺で葬儀を行って感じたこと

都内のお寺で親の葬儀を行ったMさんのお話です。

先日、親の葬儀をお寺で行いました。もともと親が檀家となっていたお寺です。

  • 葬儀会社は住職に紹介してもらった
     お寺の方から間に葬儀会社を入れて欲しいと言われました。
    葬儀社は自由に選べますが、特に希望がなかったので普段お寺と懇意にしている会社を紹介してもらいました。
    紹介頂いた葬儀会社はお寺との連携がスムーズで、ご住職に聞けないようなこと、例えばお布施を渡すタイミングはいつがいいか?など、そのお寺の事情にあった内容でアドバイスしてもらえましたので安心して色々相談できました。
  • 会場費用を抑えられた
     セレモニーホールでは祭壇料が大きな負担になりますが、お寺はもともと仏具や建物自体が荘厳であり、供花を並べるだけで十分立派な雰囲気になりました。結果として、費用は一般的な家族葬と同程度か、若干、安く済ますことができました。
  • 参列者の印象も良かった
     宗教的な雰囲気の中で行うことで、「厳かな式だった」と列席者からも好評でした。
    またお寺なので広いお庭があったり、休憩用の椅子やスペースもあり、全体的にゆったりとした落ち着いた空間だったのも良かったです。
  • お寺との付き合いが続く
     葬儀をきっかけに檀家となり、年に1~2万円程の費用負担が発生することになりました。都内にあるお寺なので少し高めかもしれません。ただ私の場合、もともと先祖のお墓がある関係で亡くなった親が檀家でした。今回はそれを引き継いだ形になりますので、私個人では新たな出費ではありますが、我が家全体で考えれば継続出費になります。お寺からは法要の案内やお寺の冊子が届いており、今後も長期的なつながりが続くことになるでしょう。

この方は「今回のお寺葬は良かった」と振り返りつつも、「ご住職の人柄やお寺の設備によるので、誰にでもおすすめできるとは限らない」とも感じたそうです。


お寺葬のメリットと注意点

まとめると、お寺で葬儀を行う際の特徴は次の通りです。

メリット

  • 歴史ある雰囲気・宗教的な厳かがあり、しっかりと故人を送ることができたという気持ちを抱きやすい。また参列者からも好評を得やすい
  • 会場費用を抑えられるので一般的な家族葬よりも安価になる可能性がある。
  • 住職やお寺との関係性を深めたい人には良いきっかけとなる

注意点

  • 葬儀後は檀家としてのお付き合いが始まることが多い
  • 費用は「格安」ではなく、相応にかかる。お寺や葬儀会社によって大きく異なる。
  • お寺や住職によって対応や雰囲気が大きく異なる
  • お寺の立地によっては交通の不便な場所で高齢の参列者には負担がかかる

まとめ

お寺で葬儀を行うことは、セレモニーホールにはない宗教的な厳かさや歴史の重みを感じられる貴重な選択肢です。費用も必ずしも高額とは限らず、むしろ会場や祭壇の準備を抑えられる面もあります。ただし、お寺や住職との相性、葬儀後に続く檀家としての関係なども含めて考える必要があります。

「安心できる場所で送りたい」「伝統に則って行いたい」という方には、お寺葬は一度検討してみてもよい選択肢といえるでしょう。

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