葬儀が終わると、ようやく一息つけるように思えますが、実際にはまだ多くの行事や手続きが残っています。法要や香典返し、遺品整理や相続など、時期や優先順位を意識して進めることが大切です。ここでは葬儀後に行うべき主な流れを整理しました。
香典返し
通夜や葬儀でいただいた香典へのお礼として「香典返し」を準備します。一般的には忌明け(四十九日法要)後に発送。品物は頂いた香典の半額程度を目安に。最近では香典返しはカタログギフトが増えてきているようです。葬儀社のギフトサービスを利用するとスムーズです。
ただし、香典返しを行わない地域もあります。通夜や葬儀の際に香典を受け取ったら、その場で「半返し程度の品物(お茶・コーヒー・菓子・タオルなど)」をお渡しする形で、四十九日以降に改めて香典返しをする習慣はほとんどなく、後日の返礼は不要とされています。特別に高額な香典をいただいた場合や、地域・親族の慣習によっては後日個別に返礼することもあります。
このように地域や宗派などによって異なる場合がありますので、よくわからない場合は葬儀会社の人や、地元の百貨店・ギフトコーナーに行って聞いてみると良いでしょう。
四十九日法要と納骨
四十九日法要は故人が極楽へ往生するとされる大切な法要です。僧侶を招き読経をしてもらい、遺骨を墓地や納骨堂へ納めるのが一般的。参列者もそうですが、菩提寺や霊園との日程調整も必要なので早めに動き始めましょう。
年忌法要(1周忌・3回忌など)
年忌法要は、亡くなってから一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌…と続きますが、近年は簡略化の傾向が強く、十三回忌以降は行わない家庭も少なくありません。
特に四十九日と一周忌は区切りとして大切にされることが多く、親戚を招いて僧侶に読経をお願いし、会食を共にするケースが一般的です。
ただし近年は、四十九日は親族中心で行い、一周忌はごく近しい家族だけで済ませるなど、規模を小さくする流れも広がっています。どこまで法要を続けるか、また親族を呼ぶかは、故人の希望や家族の負担を考慮して柔軟に判断するのが現代的です。
遺品整理
遺品整理は、思い出の品や日常生活の物を整理する大切な作業ですが、親と別居していた場合は遠方から何度も足を運ぶ必要があり、時間的にも体力的にも負担が大きくなります。
また、兄弟姉妹など相続人が複数いる場合、誰か一人が独断で処分を進めてしまうと「勝手に捨てられた」とトラブルになることも少なくありません。
そのため、事前に日程や作業の分担を話し合い、重要そうな品は一旦保管して全員で確認することが望ましいです。必要に応じて遺品整理業者を利用するのも現実的な選択肢です。
相続と各種手続き
相続手続きは、財産だけでなく借金や保証債務も引き継ぐため注意が必要です。
特に多額の借金がある場合は「相続放棄」を検討することも大切で、相続税申告期限は10カ月以内ですが、相続放棄の場合の申告期限は死亡から3カ月以内と短いため早めの確認が欠かせません。
また、預貯金や不動産、株式などの名義変更には戸籍の収集や相続人全員の合意が必要になり、時間と労力を要します。兄弟姉妹間で意見が分かれることもあるため、公正な分配を心がけ、必要に応じて専門家に相談するのが安心です。
また、銀行口座・年金・保険・公共料金など、名義変更や解約も必要です。手続きは多岐にわたるため、リスト化して一つずつ進めていきましょう。
その他(お礼・挨拶・名義変更)
葬儀後には、意外と見落としがちな細かな対応も多くあります。
賃貸契約の解約、公共料金や年金、保険などの停止・名義変更は早めに進めないと無駄な引き落としが続くことがあります。
また、死亡の事実を伝えていなかった知人や地域の関係者へ挨拶をすることで、後々の誤解や不信感を避けられます。
最近は葬儀後すぐに気持ちを切り替える人も増えており、法要や供養の方法も家庭ごとに多様化しています。形式にとらわれすぎず、故人と遺族の思いを大切にして整理していくことが望ましいと言えます。