「実家が物であふれている」「高齢の親が心配だけど、何から手をつけたらいいの?」
そんな50代の方は少なくありません。この記事では、80代の親と一緒に進める“生前整理”の始め方と、家族で無理なく片づけるポイントを紹介します。
生前整理を始めるタイミングは「まだ元気な今」
「親がまだ元気なのに失礼かな…」と感じるかもしれませんが、今がベストタイミングです。
親自身が気力・体力のあるうちに、自分の意思で物を選べるのは大きなメリット。
また、子ども世代である私たちも50代となり、体力の衰えを感じ始める時期。とはいえまだ元気な今なら、実家に出向いて一緒に整理や掃除をしたり、重い物を運んだりといった負担にも対応できます。
親も子も動ける今のうちに、少しずつ始めるのが理想です。気軽な話題から、生前整理の一歩を踏み出してみましょう。
どこから始める?実家の生前整理ステップ
① 「物が多すぎる場所」から手をつける
まずはキッチン、納戸、押し入れなど、物がたまりがちな場所を優先。
冷蔵庫を開けてみましょう。賞味期限切れの食品はありませんか? 同じ調味料が2つも3つもありませんか?納戸や押し入れの中に壊れた家電や、いつか使うかもしれないととってある大量のレジ袋、一度も使ったことのない景品類や親もよくわからないものはありませんか?
「迷わず処分できる物」から始めると、親も納得しやすくスムーズです。
② 写真・思い出の品は後回しに
アルバムや手紙などは、感情的になりやすく、作業が進みにくくなる原因に。
思い出の品は一度捨ててしまうともう二度と戻ってはきません。
まずは「捨てても困らない物」からが鉄則です。
③ 「安全のため」と伝えると親も納得しやすい
突然、「整理しよう」と言っても親はびっくりするだけです。「転倒したら危ないから」「必要なものをすぐとりだせるようにしよう」「非常時に備えて通路を確保しよう」など、親の安全や利便性を思っての行動だと伝えると、受け入れてもらいやすくなります。
子ども世代の心得:押しつけず、サポートに徹する
生前整理を進めるうえで、子ども世代が気をつけたいのは“親の気持ちを尊重することです。
「なんでこんな物があるの?」と否定的に言ったり、「これはもういらないよね?」と勝手に判断して処分してしまうのはNG。
親にとっては、それがどんなに古くても、思い出や意味が詰まった大切な品かもしれません。
実際、「すっきりしてよかったわ。ありがとう」と言っていた親が、子どもが帰った後に一人になってから寂しさを感じることも珍しくありません。
“自分で決めて捨てる”ことと、“他人に勝手に捨てられる”ことでは、受け止め方がまったく違うのです。
大切なのは、できることを“できるときに”手伝い、親のペースに合わせて進めていくこと。
焦らず段階的に、そっと寄り添う姿勢が、整理そのものよりも心の支えになるかもしれません。がコツです。
地域の支援やサービスも活用しよう
親の生前整理は、家族だけで抱え込まず、地域の支援や専門サービスを活用するのも賢い方法です。
- 自治体の「高齢者向け片づけ相談」
各自治体によっては、高齢者の住環境改善を目的とした片づけ支援や相談窓口を設けていることがあります。 - 福祉整理や生前整理に対応した専門業者
高齢者の心情に配慮しながら、丁寧に整理を進めてくれる業者も増えています。 - 地元の不用品回収・リユース団体
使えるものはリユースに回せば、処分コストも削減でき、社会貢献にもつながります。
ただし、不用品引き取りをうたう悪徳業者には要注意。
「無料回収」をうたって訪問し、その後に高額請求をされたり、回収した家電を不法投棄するケースも報告されています。
こうしたリスクを避けるためにも、自治体に紹介してもらえる業者や、実績のある信頼できるサービスを選ぶことが大切です。
無理をせず、プロの手を上手に取り入れながら、安心して整理を進めていきましょう。。無理をしすぎず、プロの手も上手に活用しましょう。
まとめ
親の生前整理は、単なる片づけ作業ではなく、親子の会話や信頼関係を深める大切な時間でもあります。思い出の品を手に取りながら、「これはいつのこと?」「こんなことがあったね」といった思い出話を楽しむコミュニケーションの場にもなります。
最初から完璧を目指す必要はありません。小さな引き出しひとつからでいいのです。
あなたのその「気づき」や行動が、親の安心したこれからの暮らしへとつながっていきます。
生前整理を通して、一緒に過ごす時間そのものを大切にしながら、少しずつ前に進んでいきましょう。