火葬式ってどんな葬儀? 最低限のシンプルな見送り方
火葬式とは、通夜や告別式を行わず、火葬のみで故人を見送るシンプルな葬儀スタイルです。
「直葬(ちょくそう)」と呼ばれることもあります。
一般的には、亡くなった方を安置場所から移して納棺の後、ごく限られた家族や親しい人だけで火葬場に同行し、最後のお別れをします。僧侶による読経など宗教儀式は行わないことが多いですが、希望すれば出棺前に読経を依頼したり、「お別れの時間」を設けることも可能です。こういった細かな内容は葬儀会社や葬儀プランによって異なります。いずれにしてもシンプルかつ静かに故人を見送ることができ、1日で終わるため時間的な負担も少なく、火葬場での滞在時間は混雑状況によりますが2時間程度です。費用も10万〜25万円程度と抑えられ、準備の手間や参列者対応が少ないことから、高齢の親を見送る場面などで選ばれることが増えています。特にコロナ禍以降、少人数で静かに送りたいというニーズが高まり、都市部を中心に利用者が急増中です。
火葬式の一般的な流れ
火葬式の流れは、まず故人を自宅または安置施設へ搬送し、納棺します。次に火葬場の空き状況を確認し、火葬日時を決定。そのうえで出棺日まで安置します。当日は火葬場へ出棺し、炉前で短いお別れをした後、火葬・収骨を行い解散となります。所要時間は1~2時間程度で、読経や通夜・告別式は基本的に行いませんが、希望に応じて簡単な儀式を追加する場合もあります。
- 逝去後、遺体を安置(葬儀会社または自宅)
- 火葬の日時を決定(役所への届け出含む)
- 火葬場にて最後のお別れ(数分程度)
- 火葬 → 骨上げ → 解散
※宗教儀式や僧侶の読経はオプション扱いで別料金が発生。
火葬式の費用相場【非常に安価】
火葬式の費用相場は10万〜25万円程度と、一般葬や家族葬と比べて非常に安価です。通夜・告別式を省くため、会場使用料や人件費がかからず、準備にかかる手間やコストも抑えられます。また、香典を受け取らないことが多いため収入は少ないものの、葬儀に関しては自治体や所属する健康保険組合から「埋葬料」や「葬祭費」などの名目で支給金が出る場合もあり、実際の持ち出しはさらに少なくて済む可能性もあります。列席者が少ない家族葬よりもコスト面では優れており、経済的な事情から火葬式を選ぶ家庭も増えています。
費用項目 | 金額の目安 |
---|---|
火葬式一式費用 | 約10万〜25万円 |
火葬料金(公営) | 無料〜数万円 ※自治体による |
オプション(僧侶・お花など) | 任意で追加可能 |
火葬式のメリットと注意点
火葬式のメリット
火葬式の最大のメリットは、経済的・時間的な負担を大幅に軽減できる点です。一般葬の平均費用が約100〜150万円と言われる中、火葬式は10〜25万円程度で済むことが多く、費用面で大きな差があります。
また、通夜や告別式といった儀式を省くため、会場の手配や祭壇準備なども不要。家族だけで静かに見送るシンプルな形式なので、参列者への対応や香典の受け渡し、挨拶回りといった煩雑な作業もほとんどありません。
・費用が圧倒的に安価
・シンプルで準備の手間が少ない
・短時間で終わるため、家族の負担が少ない
・参列者の対応が不要
故人の意向に沿った静かな見送りができる
火葬式の注意点・後悔しやすいポイント
火葬式は費用を抑え、シンプルに故人を見送れる点が魅力ですが、選ぶ際にはいくつかの注意点があります。とくに「通夜や告別式を行わない」という特徴が、結果として「最期にきちんとお別れできなかった」と後悔につながるケースも少なくありません。
また、家族の中で意見がまとまらなかったり、年配の親族から「火葬だけなんて非常識だ」と反発されることも。さらに、参列者を絞ることで「なぜ知らせてくれなかったのか」と思わぬところで不満が出る可能性もあります。
火葬式は家族の価値観に合っていれば素晴らしい選択ですが、事前にしっかりと情報を集め、家族や親族とも相談したうえで判断することが大切です。
・形式的なお別れの時間がほとんどない
→ 火葬のみのため、読経や弔辞、花を手向ける時間がなく「ちゃんと送れなかった」と感じやすい
・親族から「非常識だ」と言われることがある
→ 年配の親戚などは通夜や告別式があることを当然と考えていることも多い。
・列者を絞ったことでトラブルになる可能性
・自分たちの判断に迷いが残ることがある
→ 形式を省くことで、後から「本当にこれでよかったのか」と振り返ってしまうことも。
・宗教的な儀式がないため不安を感じる人も
火葬式が選ばれる背景
近年、火葬式を選ぶ人が増えている背景には、社会や家族のかたちの変化があります。とくに高齢の親を見送る場面では、「できるだけシンプルに、家族だけで静かに送りたい」「周囲に負担をかけたくない」と望む本人の意思が尊重されるようになってきました。さらに、少子高齢化や都市部の住宅事情などの影響で、葬儀に多くの人を呼ぶのが難しい家庭も増えています。加えて、コロナ禍をきっかけに、大人数を集めず小規模で行う葬儀スタイルが定着しつつあり、火葬式という選択肢がより現実的で自然なものと受け入れられるようになっています。また、宗教儀式にこだわらない層の増加も、火葬式を後押しする要因のひとつです。
- 高齢の親を送るケースが多く、「周囲に負担をかけたくない」という本人の希望も増えている
- 少子高齢化・都市部の住宅事情により、葬儀に人を呼びづらい家庭が増加
- コロナ禍を経て、小規模・簡素な葬儀スタイルが一般化
- 宗教にこだわらない層の増加
火葬式はどんな人に向いている?
火葬式は、さまざまな事情に配慮したいご家庭にとって、柔軟な選択肢となります。たとえば、故人が「形式にはこだわらず、簡素に見送ってほしい」と望んでいた場合や、親族が遠方に住んでいて集まりづらい場合には、火葬式が現実的です。また、家族に高齢者や持病のある人が多く、長時間の参列や移動が負担になるケースでも無理のない形で見送りができます。さらに、経済的な理由で葬儀費用をできるだけ抑えたいと考える方にも適しており、「心を込めて、無理なく見送る」という現代的な価値観にマッチしています。
- 故人が「簡素でいい」と望んでいた場合
- 親族が遠方・少人数で集まりづらい
- 家族に高齢者や持病を抱える人が多い
- 経済的な理由で葬儀費用を抑えたい
事前相談・比較で後悔しない火葬式を
火葬式は「安くて手軽だから」といった理由だけで選ぶのではなく、家族の価値観や故人の想いをふまえて、慎重に判断することが大切です。シンプルで心身の負担が少ない葬送方法として注目されていますが、「もっときちんと見送ってあげればよかった」と後悔する声も少なくありません。だからこそ、事前の準備が重要です。
どうせ葬儀社を選ばなければならないのなら、危篤や逝去の直後に慌てて決めるのではなく、時間のゆとりがあるうちに複数社から資料を取り寄せて比較しておくと安心です。葬儀社は不安や疑問にも丁寧に対応してくれますし、火葬式に特化したプランをわかりやすく紹介するサイトも増えています。
まだ一般的に浸透していない火葬式だからこそ、早めに情報を集め、家族で話し合っておくことで、後悔のない最期のお別れにつながります。
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